白狐通信

2020年秋冬新色 こっくりとした深みのある赤「花菊(はなぎく)」

色の調整を重ね完成した大人っぽい赤色

2020年秋冬新色 こっくりとした深みのある赤「花菊(はなぎく)」 色の調整を重ね完成した大人っぽい赤色

ワインカラーと言われる少し青みのあるこっくりとした赤。イエローベースでは肌の色が白く見え、ブルーベースではネイルが茶色っぽく見えました。
定番カラーの「艶紅(つやべに)」より大人っぽい深みのある赤を作ろう、と開発をスタートしたのが2019年の夏の終わり。
「葡萄酒色(えびしゅいろ)」の経験から、濃い赤は少し色味がブレると茶色っぽくなってしまう心配があったので、不安を抱えながらのスタートでした。
胡粉ネイルは乾くと、色が濃くなり少し彩度が落ちる傾向があるため、彩度を保ちつつ深い色味になるよう、約1年をかけて研究所の担当者と微妙な色調整を重ねました。

日本の秋を象徴する花

日本の秋を象徴する花

花菊とは「襲の色目(かさねのいろめ)」です。
襲の色目とは、平安貴族の衣の表地と裏地の配色、または複数の衣を重ねたときの配色美のことを言います。
その色彩調和は常に季節感に結びついており、当時は、具体的に着物の柄を写実的に表すのではなく、色を組み合わせることで、主として四季の草花や自然の色を写しました。
季節と情景を表す呼び名に、王朝文化の華やかさ、当時の人々の自然界の流れを受け止める感覚の素晴らしさと同時に、年中行事が自然と結びつき、人々の生活の中に深く浸透していたことが知られます。

春の桜に対して、日本の秋を象徴する菊の花。
文学上では「万葉集」には157種の植物が登場しますが、菊を詠んだ歌はなく、飛鳥・奈良時代の日本に菊がなかったことを暗示しています。
奈良時代末か平安時代に、中国から渡来したと推察され、「古今和歌集」や「源氏物語」などには盛んに登場します。
鎌倉時代初めの後鳥羽上皇が菊の花の意匠を好み、「菊紋」が皇族の紋として定着しました。
その後、公家や武家の家紋、店舗の商標などとして、たくさんの種類が図案化され現在も使われています。
国の紋章として、私たちの持っているパスポートや、50円玉にも見ることができますね。

江戸時代に起きた園芸ブームの際、もちろん菊の花も育種が盛んに行われ、江戸、伊勢、京都、熊本などで、それぞれ独自の品種系統が作られました。
仕立ての様式や、丹精の仕方なども発達し、菊花壇や菊人形など様々な形に仕立てられた菊を観賞するブームもおきました。
大きさや色を数多く発展させた日本の菊は、幕末には本家の中国に逆輸出され、人気となりました。

落ち着きと華やかさ 秋冬コーデの差し色

落ち着きと華やかさ 秋冬コーデの差し色

まだ少し暑さが残る初秋のネイルアートには、クリアカラーを加えてシンプルにグラデーションもオススメです。マスタードやベージュと合わせると茶色のような落ち着いた雰囲気に、ゴールドやシルバーのラメと合わせると赤みが印象的な華やかな仕上がりになります。
ワンカラーでもしっかりと主張できる色なので、ダークになりがちな冬コーデの差し色に取り入れてみてください。

写真のネイルアートのやり方はこちらをどうぞ
ねいる図案帖
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更新日: 2020年10月20日 @上羽絵惣スタッフ