白狐通信
甘く軽やかなピンク色のマニキュアでふんわり優しい指先に。
春になると取り入れたくなるピンク色。ふんわり柔らかいベビーピンクの「桃花色」は、人気の高い赤・ピンク系のスタンダードなカラーです。
個性的なかわいさはないけど、派手なネイルは敬遠されがちなオフィスにも、控えめで清潔感のある桃花色なら使えそう。
ロングネイルなら上品に大人っぽく、ショートネイルなら可憐でかわいく、どんな指先にも単色やストーンを使ったシンプルネイルで決まります。
女性ならいつまでもどこか可愛さを忘れたくないですよね。甘く軽やかなピンク色のマニキュアでふんわり優しい指先に。
古来から人に寄り添う春の色
「桃花色」は伝統色です。桃色、桃染めともいわれる色名と類似し、かさねの色目の桃の部類に入ります。
重ねの色目の「桃」は、萌黄色の新芽を配し、咲き匂う桃花を表した春の色目ですが、梅花や桜花に比べ、桃を表したものはとても少ないです。
桃色という色名は、桃山時代直前の室町時代から使われたようで、今は桃色をピンクと表現することも多いですが、実は英語でピンクはナデシコ科の植物の総称で、色の名前はその花に由来しています。
色は桃の花の色に似た薄紅色を指し、桃染めは退紅(あらぞめ/紅花で染めた薄紅色の総称)に同じと「装束色彙」(江戸時代中期に装束の染色について記録された書物)にはあり、桃色、鴇色、桜色とは微妙に色合いが違うようです。
奈良時代、都を守る衛士と呼ばれる兵士は桃染めの衣を着ていたと言われています。桃染めは桃花褐(つきぞめ)とも呼ばれ、「万葉集」にはその薄い色に気持ちの浅さをかけた歌が詠まれています。「桃花褐の浅らの衣浅らかに思ひて妹に逢はむものかも」
桃はバラ科さくら属の小高木で、中国が原産です。紀元前1500年頃の殷(いん)の時代の遺跡からその核が出土するほど、はるか昔から栽培されていました。古来中国では長寿の象徴で、その木には魔よけの力があるとされ、お守りに用いられていたそうです。
日本には弥生時代前期からあったとされ、「古事記」や「日本書紀」といった歴史書の天智天皇六年の条に「桃染布五十八端」の記載があり、万葉の時代から桃染めは色名にも用いられていたと思われます。
山梨県や岡山県、福島県など桃の一大産地では、春3月に桃畑を見下ろす山に登ると、桃色の花霞が一面に広がりほのかに花の香を含む暖かな空気に包まれます。このような様子を称して人は桃源郷と呼びますが、まるでふわふわと浮かぶ雲に乗って、下界を眺めているかのような浮世離れした美しい景色、空気感のことを言うのでしょう。
繊細な愛情を表現する色
情熱を表す赤を淡く淡くした色、桃花色
淡い思いとどこか遠くから眺める思いを兼ね備えた情熱の色なんです。
男女の恋愛で、愛情感情を表には見せなくても、どこか繊細に表現するかのように伝える気持ちを秘めたい時、一緒になって応援してくれる色のようです。