白狐通信
モデル、女優、海外セレブにも大人気。スタイリッシュでクールなブラックネイル。
今年はモデルや海外セレブの間でも黒のマニキュアが大人気ですよね。単色のベタ塗りで簡単におしゃれ度UPのマニッシュな印象の指先に仕上げられます。モードになり過ぎて抵抗感がある方は、ポイントに使うだけでもスタイリッシュでクールな指先に。流行りの赤リップのメイクとの相性も抜群。ブラックネイルは肌を白く見せる効果もあり、コーディネートが引き締まります。ネイル好きの彼女にプレゼントするなら、発色がよくツヤ感のある胡粉ネイルの漆黒で決まりです。
日本の文化に深く根付いた伝統の色
漆器のことを英語でジャパンというように日本の代表的な工芸品である漆器は、17世紀にはすでにヨーロッパ諸国でも珍重されるようになっていました。黒漆を塗った漆器は、深みのある美しい光沢をもった黒の中でも最高の黒になり、この黒が漆黒です。これ以上の黒はないということで、艶のある漆黒の黒髪とか、全く光のない真の暗闇を漆黒の闇夜などと形容します。
また、寄席の講談や落語で美人の決まり文句になっている「髪は烏の濡羽色(ぬればいろ)」(雨に濡れた烏色)というのは艶のある美しい黒髪のことで、黒の色名です。
平家物語にも、「黒漆の太刀」としてでてきます。中世の武者は装束に黒漆を多くもちいたようで、中世の日本の黒に対する1つの美意識にもなったようです。
色は物体に吸収・反射する光によって表現されます。物体の表面が粗い粒子で出来ていると光があらゆる方向に拡散反射されて白っぽく見えますが、なめらかな表面(水の粒子に覆われている状態)では光はそのまま正反射して、物体固有の反射光だけが見えます。土も石も草木の緑も、雨に濡れると色が段々濃くなり暗くなりますよね。このような状態を想像してください。物の色の濃さ暗さが、物体の表面状態と深く関係があります。
濡羽色や漆黒(漆という膜に覆われている)が真っ黒に映るにはこの効果が活かされているためです。
あらゆる波長の光を完全に吸収するような物質はこの世に存在しないので、定義通り理想的な黒色はないはずですが、実在しなくても、本当の黒い色というのはどんな色かということを感覚的には何となく感じ取っているのでしょう。黒漆の黒はその感覚に近い色で、純黒(定義上光の反射率0%の色)と言ってもいいかもしれません。
胡粉ネイルにこの漆黒を命名したのは、日本の黒を表したかったのです。色の中での黒の存在の面白さや必然性、日本の侘び寂び精神にも黒は必要不可欠です。水墨画などの白黒モノトーンの世界への探求精神も表します。
春に芽吹くため大切に種を育てるような内面を表す色
私たちはみな、内面に明るい面と暗い面をもっています。暗い面(黒い面)が必ずしもマイナスではないと思います。プラスで考えると黒は神秘性や洞察力を表しています、季節で言うと冬にあたる黒は、やがて訪れる春のために種を育てているよう内面の奥深くにある大切なものをあらわす色でもあります。