白狐通信
京都のお盆
「お盆」は、ご先祖様の霊を祀る行事を指し、8月15日を含む期間が広く認識されています。地域によっては、旧暦の7月15日や、新暦の7月15日としているところも。
人々の生活文化に密着したこの行事では、地域ごとの特徴も見られます。京都のお盆、ちらっと見てみましょう。[記事初出:2024年8月2日]
京都のお盆
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お寺などで案内されている「盂蘭盆会(うらぼんえ)」は、いわゆるお盆のこと。インドのサンスクリット語「ウランバナ」が語源だそうです。ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、この言葉からつながる「盂蘭盆経」には、子が親を思う気持ちが説かれているのだそう。
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ところで、この時期の仏花に「蓮(はす)」がよく見られます。お供え物のお干菓子にも、蓮の花を模したものがありますね。蓮の花は、仏教では極楽浄土に咲く最上の花とされています。花言葉は「清らかな心」。ちなみに、ハスとスイレンは似ているようで別の花です。興味がわいた方は調べてみてください。
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京都のお盆で、お精霊さん(おしょらいさん)をお迎えする伝統行事のひとつ、「六道まいり」。古くから冥土の入り口とされた「六道の辻」のそばにある六道珍皇寺(ろくどうちんのうじ)では毎年8月7日~10日におこなわれます。
六道とは、仏教で人が死後赴くとされる六つの世界(地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人道・天道)を言います。
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六道まいりでは、お精霊さんが乗る「高野槇(こうやまき)」を買い、水塔婆(みずとうば)に戒名を書いてもらって水回向(みずえこう)で供養し、「迎え鐘」をついてお精霊さんをお迎えします。
高野槇にお精霊さんを乗せたら、寄り道せずに帰るべし、と言われています。
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もちろん「精霊馬(しょうりょううま)」の習慣もあります。
地域差があるかもしれませんが、きゅうりを馬に見立てて「ご先祖様が早く帰ってこられるように」、なすを牛に見立てて「ご先祖様がのんびりとあの世へ戻っていかれるように」との願いを込めるそうです。
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この時季、ほおずきが飾られていることがあります。ほおずきは、丸い形と赤い色から提灯に見立てられ、お盆には枝付きで飾る風習があるそうです。飾り方は、お供え物といっしょに置いたり、お供えするお花といっしょに飾ったり、麻紐で吊るすなど、さまざま。
コロコロと可愛らしいほおずきが並ぶさまは、私たちの心も穏やかにしてくれますね。
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おうちに帰ってこられたお精霊さんにお供えするお膳の内容は、地域だけではなく宗派などでも違いがあるそうで、興味深いですね。お肉・お魚・辛みやにおいの強い野菜を避けたり、ご飯やお漬物以外に「一汁三菜」または「一汁五菜」として汁物とおかずを用意することが多いようです。
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8月16日にお精霊さんをお送りするのが、みなさまご存じ、伝統行事の「五山送り火」。
京都市登録無形民俗文化財でもあるこの送り火は、現在は大・妙・法・船形・左大文字・鳥居形の五山六文字ですが、江戸時代には十山あったのだとか!
すべて見てみたい!と思ってしまいますね。
同じ日、嵐山では灯籠流しがおこなわれます。時間が合えば、送り火の「鳥居形」と同時に見られるんですって。
※予告なく変更になることがあります。必ず事前に公式の告知をご確認ください。
いかがでしたか? この期間がお休みの方も、そうでない方も、ご先祖様や地域行事に思いを馳せる機会になるのではないでしょうか。
通常、暑さのピークを越えて秋に向かう時期でもありますが、残暑に気をつけて、ご安全にお過ごしください。
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