白狐通信
祇園祭のちょっとだけ深い話
祇園祭といえば?
日本三大祭のひとつ、京都の夏のお祭り、宵山、山鉾巡行、ユネスコ無形文化遺産… いろんなキーワードが出てきますね。
みんながなんとなく知っていることから、少し深掘りしたアレコレをご紹介。知るともっと楽しくなる祇園祭、ご堪能くださいませ。[記事初出:2024年5月30日]
1)歴史
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祇園祭は八坂神社(やさかじんじゃ)の、1150年を超える歴史と伝統を誇る祭礼です。平安時代前期869年(貞観11年)、神泉苑(しんせんえん・中京区)に、当時の日本の国の数にちなんだ66本の鉾を立て、疫病災厄の除去を祈ったことがはじまりとされています。
7月1日の「吉符入(きっぷいり)」に始まり、皆さまご存じの宵山・山鉾巡行を経て、31日の「疫神社夏越祭(えきじんじゃ なごしさい)」で幕を閉じるまで、1か月にわたって神事・行事がおこなわれます。
2)檜扇の花
京都市内では、7月に入ると民家の軒先などに「檜扇(ひおうぎ)」の花が飾られます。檜扇は古代、悪霊退散に用いられ、祇園祭でも「祭花」として欠かせないものとなっています。
上羽絵惣の液体口紅「京花舞(きょうはなまい)」の「檜扇」は、この花を指しています。
3)前祭と後祭
長い歴史の中で、1966年から2013年の間は、前祭(さきまつり)と後祭(あとまつり)は合同開催となっていました。2014年から、旧来の形に戻っています。合計34基の山鉾は、前祭が23基、後祭が11基。上羽絵惣のお隣、縁結びの「保昌山(ほうしょうやま)」は前祭です。
祇園祭のハイライトとなる山鉾巡行あたりのスケジュールは、こんな感じです。
前祭 … 7月14日~16日 宵山、17日 山鉾巡行
後祭 … 7月21日~23日 宵山、24日 山鉾巡行
※予告なく変更になることがあります。必ず事前に公式の告知をご確認ください。
前祭の夜は歩行者天国や露店でたいへん賑やかになります。後祭は歩行者天国や露店がなく、祭礼の厳かな雰囲気を味わえます。
宵山期間中は各山鉾でご朱印が授与されています。各山鉾で対応が異なりますので、ご朱印集めをされる方は事前確認をおすすめします。7月中は、八坂神社でも「祇園御霊会(ぎおんごりょうえ)」の限定御朱印が授与されるそうですよ。
上羽絵惣店頭および公式通販サイトでは オリジナル御朱印帳 を購入できます。
4)長刀鉾
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前祭の「くじ取らず」長刀鉾(なぎなたぼこ)。お人形ではない生身のお稚児さん「生稚児(いきちご)」が搭乗することでも有名です。
山鉾巡行で四条麩屋町に張られたしめ縄を刀で切り払い、神域に入る道を開く「しめ縄切り」。この役目を果たすのが長刀鉾のお稚児さんです。繁華街である四条通で、7月10日頃から鉾建てが進んでいく様子は多くの人々の目をくぎ付けにします。
5)保昌山
上羽絵惣のお隣さん「保昌山(ほうしょうやま)」は、山鉾が集まる地域から少し離れていますが、縁結びのご利益を求めて多くの人が訪れます。
縁結びのご利益は、平安時代の貴族・平井保昌(ひらいやすまさ・藤原保昌)と和泉式部の恋物語にちなんでいます。恋文を送り続ける保昌に対し、和泉式部が紫宸殿(ししんでん・京都御所)に咲く紅梅を一枝所望したところ、保昌が命懸けで応え、結ばれたというもの。保昌山のちまき・お守り・ご朱印などに梅モチーフが見られるのも、このお話を知れば納得ですね。
6)御旅所
前祭と後祭は、御旅所(おたびしょ)でつながっています。
前祭・山鉾巡行に続き、夕方から祭の主役である「神輿」が登場。神輿は、「神幸祭(しんこうさい、通称「おいで」)」の神輿渡御で八坂神社から御旅所に向かい、後祭・山鉾巡行のあと「還幸祭(かんこうさい、通称「おかえり」)」の神輿渡御で御旅所から八坂神社に戻ります。
御旅所は四条寺町交差点の近く、四条通南側アーケードに沿ってあります。「O tabi Kyoto」というお土産物屋さんが、このときだけ姿を変えるのだそう。
いかがでしたか? 現地に来られる方はもちろん、なかなか行けないわという方にも、お楽しみいただけましたら幸いです。
ちなみに、京都や近隣地域では「祇園祭の頃に夕立があって梅雨が明ける」というジンクスのようなお話もよく聞かれます。今年はどうなるでしょう…?